7月14日から公開している映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」を観てきました。
三連休の中日ということもあり、劇場はほぼ満席。
以前から注目されていた作品だけあって単館ではありますが人気のようです。
高校一年生の志乃は上手く言葉を話せないことで周囲と馴染めずにいた。ひとりぼっちの学生生活を送るなか、ひょんなことから同級生の加代と友達になる。
音楽好きなのに音痴な加代は、思いがけず聴いた志乃の歌声に心を奪われバンドに誘う。
文化祭へ向けて猛練習が始まった。そこに、志乃をからかった同級生の男子、菊地が参加することになり・・・。
主人公「大島志乃」役を演じるのは南沙良さん。
私はこの役者さんのことを存じ上げませんでしたが、吃音症(きつおんしょう)で言葉をうまく話せずに苦しむ様子や涙と鼻水を垂らしながら必死に訴える様子、
これら原作の志乃ちゃんを見事に演じきり素直に関心してしまいました。
吃音症という病気はあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、うまく言葉が話せない精神的な病と言われております。
母音が言えなかったり、特定の言葉だけが言いづらかったり、人それぞれ症状が異なります。
さて、この映画の原作を当社アプリ「トーキングメモリーズ」の及川栞ちゃんのシナリオを制作する上で参考にさせていただきました。
単純に原作をリスペクトして栞ちゃんをこれに似せたワケではございません。
私もこの吃音症に悩んだ時期がありました。
小中高とそれまでは吃音症とは無縁の生活を送っておりましたが、大学時代のアルバイトで突然発症しました。
(医者には相談していませんので実際はどうかわかりません)
接客用語で最も重要な「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」が言えない。
「いらっしゃいませ」と言いたいのに、「い・・・い・・・い・・・」となり以降の言葉が言えない。
正直自分でもなぜこうなったのかわかりません。最初は「いらっしゃいませ」も「ありがとうございました」も普通に言えました。
しかしある日の仕事中、何度も言葉を噛んだことがきっかけで、その単語が苦手なワードに登録されてしまったようです。
もともと滑舌は良くありませんが、言葉に詰まることはありませんでした。
その日を堺に言いづらい日があれば、スムーズに言葉が出てくる日もありました。
また、日に日に言いづらい単語が増えてくるのが自分でもわかり、志乃ちゃんのように私も自分の名前が言えないこともありました。
(私は母音とタ行が苦手のようです)
その当時と比べると今は随分よくなりましたが、今でも相手に話しかけたい時最初の言葉が出てこない事があります。
話し始める前に何かひとこと付け加えて話しかけたり、苦手な単語を別に置き換えたり・・・(私の場合は一度言葉を発すると以後スムーズに話すことができるようです)
アルバイトの時は何とか乗り切りましたが、最も辛かったのは就職活動です。
今でも覚えているのは集団面接で自分の名前が言えなかったことがありました。
以下、原作で自分の名前が言えないシーンがありましたが、私も本当にこのような感じで、漫画だから大げさに描いているような表現では決してございません。
「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」/ 押見修造
このように世の中には人には言えない悩みを抱えている人がたくさんいます。
他人と比べておかしい点があっても、それを決して茶化したり真似をしてはいけません。
あなたはふざけて言ったつもりなのに、それが相手の心に大きな傷をつけているかもしれません。
今回このブログや映画をきっかけに吃音症を知った人がいれば、ぜひ原作の漫画や映画を観てくれると彼女の心の辛さを感じ取れるかもしれません。